最近の国立大学法人等施設に係る調査研究について

○知の拠点-国立大学施設の充実について(平成15年7月)
 国立大学等(短期大学,高等専門学校,大学共同利用機関を含む。)の施設の老朽化等の現状と法人化の状況を踏まえ,今後の施設整備,管理運営について調査研究を実施し、国立大学施設の在るべき姿や施設の整備、管理運営に関する基本方針をとりまとめ

○知の拠点-今後の国立大学等施設整備の在り方について(平成18年3月)
 平成17年度は、第2期科学技術基本計画を受けて策定された「国立大学等施設緊急整備5か年計画」の最終年度であることから、5か年計画に基づく整備について検証するとともに、国立大学等(国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人高等専門学校機構)施設を取り巻く状況、長期的な整備目標及び第3期科学技術基本計画期間中に緊急に対応が必要な整備課題についてとりまとめ

【施設マネジメント関係】

○知の拠点-大学の戦略的施設マネジメント(平成15年8月)
 法人化後の国立大学の役割として施設マネジメントに係る取組が重要であることから、専門的な観点から調査研究を行い、大学の基本的機能である教育と研究を中心に、施設マネジメントを導入する際の基本的な視点、目標としての施設水準に関する基本的な考え方及びその具体的な実施方策等についてとりまとめ

○大学の活力ある発展と施設運営コストの最適化(平成17年7月)
 施設運営コストは、安全確保や教育研究水準の維持に必要欠くべからざる経費であるとともに、適切な維持管理によって施設の寿命を伸ばし、資産価値を維持していくために必要な投資であるとの認識に立ち、コストマネジメントの推進方策等についてとりまとめ

知の拠点-国立大学施設の充実について(平成15年7月報告書概要)

第1章 今後の国立大学施設の在るべき姿
 法人化後における,多様な教育研究計画に対応した施設の充実のための,大学の諸活動に応じた施設の在り方
1.教育機能の充実
 (1)教育内容・方法の進展への対応(情報化等施設機能向上,講義室の共用化等)
 (2)学生の視点の重視(自学自習,コミュニケーションの場の確保,社会人,男女共同参画の視点)
2.研究機能の充実
 (1)大学院の充実,卓越した研究拠点の形成(競争的研究資金への対応等)
 (2)プロジェクト研究や研究の学際化に対応する施設(プロジェクト研究棟等)
 (3)研究交流のためのスペース(異分野交流スペース,大部屋化等)
3.産学連携の推進
 (1)施設整備における企業との連携(寄附建物との合築整備等)
 (2)地方自治体,産業界との協力と多様なスペースの確保(大学外でのスペース確保等 )
4.キャンパス環境の充実
 (1)キャンパス環境の調和,個性化(調和のとれたキャンパス,屋外環境の重要性等)
 (2)長期的な視点に立ったキャンパス計画(キャンパス計画のための責任ある体制等)
5.地域・社会との共生
 (1)地域環境,地域住民との共生(周辺環境との調和,地元自治体との連携等)
 (2)社会との共生(社会との交流のための環境整備等)
 (3)セキュリティへの配慮(セキュリティの必要性等)
6.国際化の推進
 (1)キャンパスの国際化(国際水準のキャンパス環境等)
 (2)外国人教員,研究者への対応(交流施設,生活支援施設の確保等)


 第2章 施設の整備,管理運営に関する基本方針
1.国と国立大学法人の役割

 国の役割

国立大学法人の役割

・大学全体の施設整備方針の作成
・施設費の措置(国立大学施設の基本的財源)
・施設整備・管理運営の円滑化のための方策
・国の施設費と財務・経営センター事業(施設費貸付事業、施設費交付事業)の連携
・国民への説明責任(適切な評価に基づく事業 採択等)

・経営的視点からの施設マネジメントへの取組
・自己収入による施設整備
・長期にわたる施設の管理運営責任
・国民への説明責任(どのような教育研究活動が当該施設で行われるか等)


2.国の施設整備に関する基本方針
【国立大学法人の中期計画期間における国による重点的施設整備】
○平成17年度まで,「緊急整備5か年計画」の着実な実施。
○平成18年度以降は,以下の観点からの重点化を図った計画の下,施設整備を推進。
1)重点的に整備する施設

1 既存施設の再生整備(老朽化対策)

老朽化施設(現行耐震基準前の施設)の中から,改修整備の目的を明確化した上で,地震防災に係る地域性,建物の耐震性,教育研究の活性化等により優先順位を付けて整備


2 必要なスペースの確保(狭隘化対策)

整備需要のうち学生の教育研究の基盤的施設を重点整備


3 附属病院の整備

附属病院の運営コスト等に留意しつつ整備


4 国の政策に対応した整備

大学改革,科学技術創造立国の実現など高等教育,科学技術・学術政策に対応した整備


2)公的施設としての機能確保
 省エネルギー,ユニバーサルデザイン,安全対策等に配慮

【施設整備の進め方】
1)適切な評価に基づく施設整備
個々の施設整備需要を適切な評価により優先順位付けし、施設整備資金を効果的に配分する。
2)大学キャンパスの個性化
 ・各大学は,大学の掲げる理念・目標に照らし,優先的に整備する対象を明確化
 ・国は,各大学の個性化を十分に配慮


3.国立大学法人に求められる施設に関する取組(国の施設整備の前提条件)
(1)施設マネジメントの推進----施設整備,運営管理を一体的に 等
(2)施設の点検・評価の推進----点検・評価を踏まえた施設の有効活用 等
(3)施設の維持管理の適切な実施----施設の計画的な維持管理 等
(4)学生,教職員への意識啓発----学生,教職員への「施設を大切に利用する」意識の啓発 等


第3章 施設の充実のための新たな方策
 1.目的用途に応じた施設水準と整備計画----目的用途に応じたメリハリのある整備
 2.多様な財源の活用----多様な財源の確保のためのインセンティブの付与
 3.学外施設の活用----産学連携,地域との交流等のための学外施設の活用の促進
 4.卓越した施設計画・整備の促進----教育研究構想と併せ卓越した施設計画を募集し,モデル施設として他大学への波及効果を促す。 

知の拠点-今後の国立大学等施設整備の在り方について(平成18年3月報告概要)

第1章 国立大学等施設の整備状況
1.国立大学等施設緊急整備5か年計画の検証
(1)重点的整備
 ・優先的目標とした、大学院施設の狭隘解消、卓越した研究拠点、大学附属病院の整備等については概ね目標を達成し、教育研究内容の向上等に一定の効果を上げているが、平成13年度以降に設置された大学院のスペース等の新たな教育研究ニーズ等への対応が今後の課題。
 ・老朽施設の改善整備については、一定の成果はあがっているものの目標の5割程度の達成状況であり、その後の経年による老朽改善需要等が加わることから、今後の大きな課題。
(2)システム改革
 ・施設の有効活用については、共同利用スペースの確保や使用面積の再配分の実施等の取組が大幅に進展。
 ・新たな整備手法として、PFIや寄附による整備、産業界・地方公共団体との連携による整備等が進展。
2.国立大学等施設の現状
(1)施設の狭隘化の状況
 現行5か年計画に基づく整備により狭隘化は一定の解消(H12年度末:約500万㎡→H17年度末:約300万㎡)が図られたものの、新たな整備需要への対応が課題。
(2)施設の老朽化の状況
 老朽施設は、平成12年度末の状態から増加(H12年度末:約600万㎡→H17年度末:約700万㎡)。施設の老朽化により、1安全性の問題、2機能上の問題、3経営上の問題が生じ、教育研究活動に支障を来しており、緊急に対応が必要。
(3)施設整備費の状況
 施設整備費は極めて厳しい状況におかれている。今後策定される新たな整備計画を着実に推進するためには、計画達成に必要な施設整備費の確保が重要な課題。
(4)諸外国の状況
 OECD諸国と比べて、国立大学等の資本的投資比率は低く、OECD諸国平均レベルの資本的投資が必要不可欠。

第2章 国立大学等施設を取り巻く状況と今後の課題
1.国立大学等の法人化
 国立大学等の法人化の趣旨を踏まえ、施設整備、管理運営を適切に行うことが必要。
2.老朽化への対応
 国立大学等施設の老朽化が深刻化しており、緊急に対応が必要。
3.地震防災等の対策
 学校や病院等の耐震化の推進が必要。
4.教育研究の基本的方向
 人材養成機能の充実・強化、科学技術・学術研究の推進、最先端医学・医療への対応が必要。
5.システム改革への取組
 国立大学等は法人化後、自主的・自律的な取組として施設マネジメントや新たな整備手法の推進が必要。

第3章 長期的な整備目標
(1)整備目標
 老朽施設等の改善を要する施設の解消を図り、現代の教育研究ニーズに対応した施設へ再生し、安定的な施設の維持管理・運営を可能とする。
(2)長期的な整備目標(試算)
 15年後に安定的な施設の維持管理・運営を実現可能な状態にするためには毎年80万㎡(附属病院を除く)の老朽改善整備を行っていく必要がある。

第4章 緊急に対応が必要な整備課題
 国は、緊急に対応が必要な施設の整備に係る明確な目標等を盛り込んだ、次期5か年の施設整備計画を策定する必要がある。
1.安全・安心な教育研究環境への再生
 膨大な保有量である老朽施設のうち、特に耐震性の著しく劣る施設や機能の著しく劣る施設など、教育研究に著しい支障がある施設約400万㎡(大学附属病院を除く)の再生を最重要課題とする。
2.教育研究環境の高度化
 ・世界一流の優れた人材と研究成果を生み出すための「教育研究環境の高度化」を図ることを目指し、整備の対象を重点化する。
◇人材養成機能を重視した基盤的施設の整備
 ・大学院機能の基盤強化(平成13年度以降に設置された大学院や、若手研究者のスペース確保)
 ・特色ある高等教育の基盤充実(個性・特色ある教育内容・方法が展開できる教育環境の充実、情報環境の充実)
◇卓越した研究拠点の整備
 ・世界水準の独創的・先端的研究拠点の整備(優れた教育研究機能を持つ学術研究拠点の整備)
 ・地域・社会との連携協力を推進する研究拠点の整備(地域・社会の知の中核拠点として機能し、地方公共団体や他大学等との連携協力を推進する研究環境の整備)
◇先端医療に対応した大学附属病院の整備
 ・医療の専門化、高度化への対応等、一層社会に貢献できる病院として再生(機能の向上、耐震性等安全性の確保等)
 ・整備に際しては既存施設を可能な限り有効活用する。
 ・教育研究の進展に伴う新たなニーズ※により生じる狭隘化の解消を図る。※((例)平成13年度以降に設置された大学院[約45万㎡]、卓越した研究拠点[現行5か年計画整備実績:約34万㎡]
 ・大学附属病院については、約60万㎡について着実・計画的な整備を推進する。
3.システム改革の実質化
 現行5か年計画における成果等を踏まえ、システム改革がより一層充実され大学経営そのものに定着するよう、より積極的に取り組む必要がある。
 1 施設マネジメントの一層の推進(全学的視点に立った施設管理、点検評価、意識啓発、運営等)
 2 新たな整備手法の推進(国立大学等による新たな整備手法の活用、国による必要な仕組みづくりや情報提供)
 3 システム改革の取組の積極的な評価(施設マネジメントや新たな整備手法などの取組をより積極的に評価)

知の拠点-大学の戦略的施設マネジメント(平成15年8月報告書概要)
-施設マネジメントの基本的視点と具体的な実施方策-

1 教育研究活動の基盤となる適切な教育研究環境の構築
 ・ 施設の企画・計画、整備、管理を一体的に行い、長期的な視点から施設を確保・活用することを目的とする施設マネジメントの導入が必要。
 ・ 施設マネジメントをトップマネジメントの一環として、戦略的に行うことが重要。
2 施設マネジメントの実施に係る基本的考え方
 1施設の質の管理(クオリティマネジメント)
 2施設の運用管理(スペースマネジメント)
 3施設に係るコスト管理(コストマネジメント)
 の3つの視点から具体的な目標を立て、調和を図りつつ推進することが重要。
3 施設マネジメントの的確な実施
 大学との実状に応じて、
 1適切な現状把握と課題の抽出
 2施設マネジメントの目標としての施設水準の設定
 3施設マネジメントの実施方針等の策定
 4方針等に基づく具体的方策の実施
 5これらの自己評価
 について、各大学が主体的に取組み、施設の持続的向上を図ることが必要。
4 施設マネジメントを実施する具体的方策
 施設マネジメントの実施方針等に基づき、
 1施設運用計画及び施設修繕計画の作成、施設利用者の啓発
 2施設の機能の維持・向上、安全の確保等の方策
 3施設の確保・運用の方策、学外施設の活用
 4運営費交付金の適切な学内配分、多様な財源の活用、適切な施設規模の設定、コスト縮減について総合的かつ計画的に実施することが必要。
5 施設マネジメントの推進の方策
 ・ 国は、施設に係る評価指標の提示、標準的な施設水準の明示、施設マネジメントに係る情報提供を行うことが必要。

大学の活力ある発展と施設運営コストの最適化(平成17年7月報告書概要)
-知の拠点 大学の施設マネジメント(コストマネジメントの推進方策等)-

1 大学施設の管理運営をとりまく状況
 ・ 国立大学等の法人化により、運営費交付金には、施設の維持管理と劣化防止を対象とした教育等施設基盤経費が算定。
 ・ 施設運営コストの効率化、省エネルギー対策の強化、京都議定書が発効し、CO2削減努力が不可欠。
2 大学施設のコストマネジメントの現状と課題
 ・ 大学施設の管理運営の実態を把握するため、平成16年12月に国立大学法人と一定規模以上の私立大学を対象にアンケート調査を実施。
 ・ 集計結果から見た主な特徴
 1経常経費(人件費を除く)に占める施設運営経費の割合は、私立大20%-国立大14%
 2施設運営コストは、国立大学で増加傾向。修繕費や光熱水費の増加が顕著
 3光熱水費の詳細や修繕箇所の把握など基礎資料の把握は国立大学が低調
 4施設運営経費の効率化への取組は、新築・大規模改修に省エネ対策を実施することが多い一方、予防保全・省エネ診断・ESCO等の取組が少ない
3 大学施設のコストマネジメントの推進の方策
 ・  コストマネジメントの導入にはPDCAサイクルの活用が効率的。その推進には、1全学的な体制整備、2コスト負担の基本的考え方の学内合意、3具体的な目標設定、の3つが必要。
◆総合的な計画の立案(P)
 ・ 計画立案は、正確な実態把握が基本。中でもエネルギー使用量、要修繕箇所、老朽機器の更新需要、の3項目の把握がポイント。
◆計画の遂行(D)
 ・ 各大学等は、様々な経費を活用して施設運営財源の確保に努めることが必要。(管理運営経費の配分方法の検証、施設管理運営業務事務の検証、取組状況及び結果等の公表)
◆評価の実施(C)
 ・ 設定目標に対する達成状況を客観的に評価し、公表することが重要。(外部専門家・第三者機関などによる客観的な評価の実施、ベンチマーキング手法、評価結果の公表)
◆次期計画への反映、補正行動(A)
 ・ PDCAサイクルでは、計画期間の中間で達成状況を評価し、必要に応じて実施方法や予算配分の補正行動を起こすことが重要。(効果的な行動への見直し、評価に基づく次期計画の策定)
 ・ 国は、コストマネジメントの推進のため、グッドプラクティスに関する情報提供、ベンチマーク指標の共通化、人材育成への支援等で、大学の取組を支援することが必要。
4 施設マネジメントにおけるグッドプラクティス 
 ・ コストマネジメントの理解を助けるため、グッドプラクティス13事例を紹介。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)

-- 登録:平成21年以前 --